ビンディングのセットバックとは

ビンディングのセットバックとは

 みなさんこんにちは。エス氏です。今回はセットバックについてご説明します。これまでのセッティングに関する記事を読んで頂いているという前提で進めます。

セットバックとは

 セットバックとは、ビンディングの取り付け位置を、板の真ん中よりもテールよりにずらすことです。自分で取り付け位置をずらす場合と、あらかじめインサートホールがテールよりにずれている場合があります。

ツインチップとディレクショナル

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 一般的にフリースタイル系のツインチップボードは、板のノーズとテールが対称となっています。スイッチスタンスでも滑り易くするためです。そのためビンディングの取り付け位置もセンターとなり、セットバックはされていません。インサートホールの位置が、それぞれノーズとテールのから同じ距離に設置されているという意味です。
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 フリーライディング系のディレクショナルボードは、板のノーズとテールが非対称になっています。スイッチスタンスよりも本来のスタンスでの滑りを重視しているので、5mm~30mm程度セットバックされています。あらかじめビンディングを取り付けるインサートホールが、テール側にずらして設置されているので、推奨スタンスで取り付けた場合は自動的にセットバックされた状態となります。

 ビンディングの取り付け位置はご自身で自由に決められるので、セットバックの無い板でもテールよりに取り付けてして構いませんし、セットバックのある板でもセンター寄りに取り付けてかまいません。

セットバックの効果

 セットバックすると、その程度にもよりますが、次のような効果があります。
1.通常のスタンスの滑りが安定する。

2.パウダースノーが滑り易くなる。

3.板を回転させ難くなる

4.スイッチスタンスで滑り難くなる

 なぜこのような効果があるかについては、実は、はっきりと理屈を説明出来ない部分もあるのですが、自分なりに考えたこともあるので、後半にご紹介させて頂きます。

どのくらいセットバックすればいいのか?

 初心者の方は、ある程度セットバックした方が滑り易いと思います。適切なセットバックについては、ご自身で何度か試して調整するほかないのですが。パウダースノーを滑るのであれば大きくセットバックしてもよいでしょう。グラトリ重視ならほとんど必要ないと思います。
 ディレクショナルボードの場合は推奨スタンス辺りにビンディングを取り付けておけば、程よくセットバックされていると思います。もしくは、あまり深く考えずにノーズ側とテール側の長さを見て、若干ノーズ側が長くなる程度に取り付けておけばいいと思います。
 私自身はスタンス幅についてはきちんと測っていますが、セットバックについては割とテキトーです。ノーズがテールよりもちょっとだけ、まあ2〜3cmくらい長くなるように取り付けています。

 ここまでの結論は、初心者の方は若干セットバックしている方が滑り易そうだということでした。以下は、セットバックの効果はどういう理由でそうなるのか、という説明です。効果とその理由は私なりの考えです。内容は初心者向けではありません。

1.セットバックすると滑りが安定する?

 セットバックすることにより、通常のスタンスで滑る場合に安定性が増します。いったいなぜそうなるのでしょうか。
a.低速でターンする場合、板はノーズ側よりもテール側の方が回転する量が大きい。なぜなら、板は落下しながら回転するので、ノーズが山側に回転するのではなく、テールが谷側に回転してターンするから。
b.テール側の動きが多いということは、当然テール側のエッジが多く使われている。ならば、セットバックして重心を後ろにズラした方が、テール側のエッジに荷重し易くなり、結果として滑り易くなる。
c.カービングで滑る場合は、板をたわませて回転するので、テール側が大きく動いているわけではない。しかしターンのスピードが速いので、回転の外側に向かう遠心力が大きくかかることになる。
d.遠心力はターンの後半に強く働くので、ノーズよりもテールに強く力がかかることになる。ならば、セットバックして重心を後ろにズラした方が、テール側のエッジに荷重し易くなり、結果として滑り易くなる。

 

 こんな感じだと思います。

2.パウダースノーが滑り易い?

 初心者の方にはしばらくは縁がないと思いますが、セットバックしているとパウダースノーを滑る際に楽が出来ます。パウダースノー、深雪は圧雪されていない状態ですので、その上を滑ると板が雪に沈んでしまいます。これを避けるためには、板が沈まないようにノーズを浮かせて滑る必要があります。ノーズが沈むと、板は深雪に埋まってしまいます。ノーズを浮かせるためには、テールに荷重しなければなしません。テールを抑える後ろ足には大きな負担がかかることになります。
 セットバックしていると、テール側に重心が移っているので、ある程度は自然にテール側に荷重出来ます。やはり後ろ足で板を抑える必要はありますが、負担は少なくなります。

3.板を回転させ難くなる?

 この場合の回転とは主にスピンのことですが、ターンについても同様だと思います。単純に考えて、セットバックすると、回転の軸となる板の中心と重心の位置がズレることになるので、センターにビンディングを取り付けた場合と比較すると、回転はし難くなるはずです。

4.スイッチで滑り難い?

 セットバックした板に乗ると、スイッチした状態でのノーズが短く、テールが長くなります。上記1.とは逆の状態になり、結果として滑り難くなるといえます。慣れればそれほど気になりませんが。

<スノーボードのスタンス幅はどう決める?  ビンディングのアングル(角度)について>


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