20/21モデル　AMICSS　AGGRESSOR 161　インプレッション

　みなさんこんにちは。エス氏です。今回は20/21シーズンにエス氏が乗っていたAMICSSのAGGRESSORの感想をご紹介しますよ。19/20シーズンモデルの感想も書いておりますので、そちらもご覧いただければと思います。

19/20モデル　AMICSS　AGGRESSOR 157　インプレッション

2020年5月7日

AMICSS／アミックス

　アミックスは青森のメーカー、ブルーモリスのブランドで、16/17シーズンからスタートしました。アルペンスノーボードのワールドッカップで活躍しているアミックスの板は、すべてハンドメイドで作られています。超高性能のプレミアムボードですが、意外と初級者にも優しい板なんですよ。

AGGRESSOR／アグレッサー

　アグレッサーについては19/20モデルで詳しくご紹介しておりますが、まとめると、ハンマーヘッドにしてはしなやかで非常に扱いやすく、カービングはもちろんパウダーでもオールラウンドに滑れるエス氏史上最高の板、ということでした。この感想はもちろん20/21モデルでも変わりません。今回は19/20モデルと20/21モデルの比較という形でご紹介したいと思います。

　ちなみにアグレッサーと合わせて使っていたビンディングはFLUXのXF、ブーツはNITROのTEAM TLSですよ。良い組み合わせだったと思いますな。

　20/21モデルはサイズを長くし、161に乗りました。ワンサイズ長くすることで、よりカービング性能が高くなると期待したわけですね。まあ19/20モデルも161を試乗しておりますが、今まで161というサイズの板をメインで乗ったことがなかったので、乗りやすそうな157にしてみたと。結果的には161でも乗りやすさはほとんど変わりませんでしたな。

　20/21モデルは前年に比べるとチタナールが少し厚くなったようですな。157から161へとサイズを長くしていますが、それに加えてメタルの厚みが増したことにより重量はけっこう変わったと感じました。特にリフトの上で。アグレッサーはとてもしならせやすいのでメタルが入っていないと間違いする人もいるのですが、ガッツリとサンドイッチでチタナールが入っておりますよ。メタル入りにもかかわらず、しならせやすく抜群の操作性を誇るところが超高性能ボードたる所以かと。

　チタナールが厚くなったからでしょうか、板の張りは前年よりも増していると思います。19/20モデルではしなやかであると同時に柔らかいという印象でもありましたが、20/21モデルでは柔らかいという感じはしなくなり、しなやかでありつつより安定するようになりましたな。抜群の操作性はそのままで安定感が増しているのですから文句無しです。

　一方で、19/20モデルではグラトリなんかも少しはやっていたのですが、20/21モデルではほとんどやらなくなりました。157で柔らかく感じていた19/20モデルならグラトリも楽しめましたが、サイズが長くなり張りも増した20/21モデルでは、エス氏の技術だとグラトリはちょっと難しかったですね。19/20モデルはダックスタンスで乗っていましたが、20/21モデルは完全に前振りで乗りました。グラトリどころかスイッチスタンスもあまりやらなくなりましたが、おかげさまでカービングは今まで以上に楽しめたと思います。まあそのために161にしたわけですが。

　2シーズン続けてアグレッサーに乗っていたので身体がこの板に慣れてしまったのですが、試乗会などで他の板に乗るとあまりの性能差に驚きます。しなやかで抜群の操作性に安定感、レスポンス、そして板がよく走るんですわ。板を切り返す際の気持ち良さが全然違います。現状ではエス氏の基準がアグレッサーになってしまったので、アグレッサーの素晴らしさというよりも他の板のショボさがどうも気になって楽しめないのです。ギクシャクした動きで安定感に欠け、鈍い反応に加速感の無い切り返し。どれもこんなに酷いわけではありませんが、アグレッサーを基準にすると、比較対象となる板が同じアミックスのDNA Tiくらいしか思い浮かびません。

　20/21シーズンはアグレッサーでパウダーを滑る機会が多くありました。ハンマーヘッドでパウダーを滑るという発想が無い人が多いようなのですが、全く問題無いですよ。エス氏はインサートホールの真ん中にビンディングを付けていますが、これでセットバックが入っているので、シーズンを通してセッティングを変えることはありません。カービングでもパウダーでも同じです。板を変えたりセッティングを変えるのは面倒くさいですからね。それならコンディションに合わせて滑り方を変える方が手っ取り早いですわ。

　エス氏がメインで乗った一番長い板は158のパウダーボードでした。アグレッサー161はそれよりも長いので、新雪を滑る際の浮力も十分にありました。もちろんパウダーで浮くのはアグレッサーよりもパウダーボードですね。新雪に乗った際、パウダーボードは雪の上にふわりと浮く感じがありますが、アグレッサー（というよりパウダーボード以外の板）はある程度沈みます。正直はじめのうちは違和感もありましたが、よくよく考えるとこれはアグレッサーではなく硬いハイバックに対する違和感でしたな。パウダーでは足回りはある程度動かしやすい方がエス氏的には滑りやすいものでして。

　アグレッサーは新雪である程度沈みはしますが、サイズが長く板の面積も広いので、浮力が無いわけではなく、ある程度沈んだら安定します。滑走性と安定性が高いので、新雪でもよく滑りますしスピードを出した際の安定感も抜群なので、慣れてしまえばパウダーライディングも問題なくこなします。ツリーランも普通にできますよ。

　ノートラックが滑りやすいのは当然として、ある程度トラックが入ってくると雪面は荒れてきますね。雪面の踏まれた部分と踏まれていない部分とで段差ができ、その段差に足を取られたりバランスを崩したりして転倒する人も多いことと思います。アグレッサーで新雪を滑っていて一番良いなと思ったのはコースが荒れてきてからですな。新雪でも扱いやすく、荒れた雪面をものともしない安定感。エス氏はニセコのパウダーもアグレッサーで滑りましたが、パウダーボードが欲しいとは一瞬たりとも思いませんでしたね。

　コンディションに合わせて板を乗り換える人も多いと思うのですが、最高の板を1本持っていれば新雪も圧雪も両方イケますよ。アグレッサーはハンマーヘッドのカービングボードなので、本来は圧雪された斜面を滑るのに最も適した板なワケですが、操作性があまりにも良すぎてどこでも滑れてしまうのかなと。アグレッサーに乗った感想は当然その人のレベルによって変わると思いますが、エス氏が何よりも素晴らしいと思うのはしなやかで扱いやすい、というところです。ハンマーヘッドの板は硬くてカービング専用、と言うイメージの方も多いと思いますが、アグレッサーは例外です。初級者から上級者まで、シーンを選ばず乗れる最高のフリーライディングボードですわ。

　エス氏的にアグレッサーの157と161、どちらが良いかと問われると、難しいですが161ですかね。グラトリなんかもしながら遊ぶなら157の方が良いのですが、もともとそんなにグラトリできないですし。タラタラとゲレンデクルージングを楽しむのがエス氏のスタイルなので、アグレッサーほどの超高性能ボードは必要ない気もするのですが、この極上の乗り味を知ってしまうともう他の板に乗る気にならなくなってしまうんですよね。知る悲しみというやつですな。

　余談ですが、カービングができない初級レベルにもかかわらずアグレッサーに乗っている人を知っています。もともとは別の板に乗っていて、試乗会などにも参加していたのですが、アグレッサーが断然滑りやすいという結論に至り、もう試乗は時間の無駄だと興味を無くしております。このレベルでもう知る悲しみ状態とは贅沢な話ですわ。

スノーボード用品試乗レポート　一覧

2012年10月12日