みなさんこんにちは。エス氏です。今回はスノーボードの板流し問題について書いてみましたぞ。
スノーボードの板流し問題については多くの方がご認識していると思います。板が斜面を流れてしまい、人や物にぶつかると重大な事故につながる恐れがあるというヤツですね。ゲレンデのベース付近で緩やかな斜面を数メートル流れる程度であれば大した事故にはならないと思いますが、コースの上から数百メートルを猛スピードで落ちていくスノーボードの破壊力はかなりのものでしょう。子供に直撃すると死ぬと思います。大人でもヤバいかも。
板が流れてしまうのは、滑走面を下にして板を雪面に置いた上に、手を離してしまうからですね。滑走面を上にした状態で雪面に置けばひとまずは安心ですが、強風時などは板がひっくり返ってしまう恐れもあるので、やはり斜面の上で板から手を離す際には注意が必要かと。
なんてことはある程度の経験がある人なら百も承知だと思います。板を流してしまう人は、データがあるわけではありませんが、おそらく大半が初心者レベルの人でしょう。知識も経験も想像力もない初心者が、斜面の上に板を置くと滑って行ってしまうということに思いが至らず板を流してしまい、追いつけるはずもない板を追いかける羽目になるわけです。
ある程度スノーボードの経験がある人は、そうそう板を流すことはないと思いますが、流れてきた板の被害を受ける可能性はあるわけで。そう考えると他人事ではないんですよね。流れてくるのがわかっていれば避けることもできますが、背後から不意打ちを食らったらと思うとゾッとしますね。なのでリフトの上から板が流れているのを見かけた際は、大きな声で板が流れていると叫ぶようにしています。効果があるかどうかは時と場合によると思いますが。
経験がある人はそうそう板を流さないだろうと書きましたが、エス氏も自分が板を流してしまう可能性はあると考えていて、それについては実に恐ろしいことだと思っています。自分が板を流してしまい、誰かに怪我をさせてしまったとしたら。。もうスノーボード辞めるかも。
誰かに怪我をさせなくても、広大なゲレンデで板を流したらもう回収不可能なんじゃないか、と思うこともあります。板なしでどうやって下山すればいいのか。加害者になることとは別の恐怖を感じますな。
画像はフランストリップのティーニュで撮影したものです。エギュイ・ペルセという名所に板を持ってアプローチしたのですが、足元が少々悪く、ここで転んで板が流れたらと心配になり、かなりヒヤヒヤしましたわ。
エギュイ・ペルセから見たゲレンデです。とんでもなく広大なのがわかるでしょうか。ここで万が一板を流してしまったら。。ほぼ回収できないと思いますし、どうやって山を降りたらいいのかもわかりません。いや〜恐ろしい。自分でも気をつけて絶対に板を流さないようにしたいものですね。
板が流れてしまうのを防ぐために、スノーボードにはリーシュコードという滑り止めが一応あります。しかし多くの人が感じているように、リーシュコードには滑り止めとしての効果がほとんど期待できません。これはなぜでしょうか。
前述の通り、板を流してしまうのは経験の浅い初心者が大半だと思われます。流れている板の大半はレンタルかもしれませんね。レンタルボードを借りる際、リーシュコードの使い方はおそらく説明されません。何のためのものなのか理解しない初心者が、リーシュコードを垂れ流しながら滑っている様子を見かけたことがある人も多いでしょう。これでは流れ止めの効果など期待できるはずもありませんのう。
さらに言えば、リーシュコードの使い方を理解していたとしても、流れ止めとしての効果はほぼないと思います。スノーボーダーが板を外す際は、ビンディングを外し、さらにリーシュコードも外します。リーシュコードで板と身体を繋がれていてはトイレにも行けません。板を外す際はリーシュコードも同時に外すのですが、板が流れるのも板を外した後のことです。リーシュの有無に関わらず、まずは板を裏返して置くことの方がはるかに重要でして。要するにリーシュコード自体に板が流れるのを防ぐ効果は無いのです。
スキーにも流れ止めが付いていますね。ビンディングにストッパーが付いており、ビンディングにブーツをはめるとストッパーが上がって滑れるようになり、ブーツを外すとストッパーが下りて流れ止めになるという仕組みです。スキーヤーが板を外した状態では常にストッパーがかかっているので、これはスノーボードにおけるリーシュコードよりはるかに良く出来た仕組みだと思いますね。
まあ実際には急斜面で転倒したスキーヤーから板が外れ、ストッパーがあるにもかかわらず斜面を流れてしまう場面は何度も見ておりますけど。スキーのストッパーも完全ではありませんが、それでもリーシュコードとは比較にならないほど有効かと。斜度が緩いところでは滑り止めとしての効果が非常に高く、滑走中に板が外れることがないスノーボードに置き換えるとほぼ板流し問題が解決出来るレベルですな。
ではスノーボードのビンディングにもストッパーを付ければイイのではないか、という考えもあるでしょうが、エス氏は2つの理由で難しいと思っています。
1つ目は不便だからです。スノーボードのサイズと重量の流れ止めとなるには、スキーのストッパーよりも大きな仕組みを考える必要があると思いますが、そんなものをビンディングに取り付けると、おそらく見た目も悪く重量も増えてしまいます。スキーのストッパーは2本の板を重ね合せる際のジョイントにもなりますが、スノーボードのソール側にストッパーが飛び出していたら、ソールカバーをかぶせることもできなくなってしまいますのう。
利便性についてはうまい仕組みを考えれば解決できるのかもしれませんが、2つ目の問題があります。それはストッパーをダサいと考える人たちが大量発生することですな。ヘルメット論争を思い浮かべてください。ヘルメットの方がニット帽より安全なのは間違いありませんが、ヘルメットがダサいと考える人たちが大勢いるわけです。同様にデッキパッドもダサいという人たちがいますね。デッキパッドもあった方が確実に安全だと思いますが。
ヘルメットがダサいなんて言う人は、オリンピックで金メダルを獲った平野歩夢選手の滑りを見ても同じことが言えるのでしょうか。ヘルメットでもかっこいい人はかっこいいのですよ。
それはさておきストッパーなんてダサくて使ってられねーよ、という人は必ず現れ、ダサいと思われるのは嫌だなという人もまた現れることでしょう。ストッパーを付けることが義務化でもされない限り、あまり普及しないと思います。そもそもメーカーが作るかどうかもわかりませんが。売れなそうだし作ってくれないという気はしますのう。
では板流し問題はどのように解決していけばイイのかなぁと考えると、やはり初心者への啓蒙なのかなと。プロでもユーチューバーでも注意喚起をしてくれればとは思いますが、まあ手っ取り早いのはスキー場がその気になることでしょうか。レンタルの際に必ずリーシュコードの使い方や板流しの危険性について説明するようにし、ゲレンデ内にも定期的に放送で注意喚起をするとか。レンタル用の板にだけストッパーを付けるということも出来るかもしれませんね。
逆に言えば、スキー場はまだ板流し問題について真剣に考えていないという気もします。ほとんど意味がないリーシュコードについては、つけていないとリフトに乗れませんなどとチェックもしていないくせにポスターなどを貼り、安全に配慮しているフリをしているだけですから。
板流し以外にも、リフトやゲレンデ内での喫煙や禁止エリアでの滑走など、客側のマナーに頼っているだけで、スキー場として真剣に取締るつもりが無いということが見え見えな問題もありますよね。本気出せば取締りは難しくないハズですが、客側とトラブルになるのが嫌で見て見ぬフリをしているのかなと。パトロールとかいう役割の人もいることですし、もう少し仕事をしてくれるとマナーが良いつもりの利用客としては嬉しいのですが。
そんなわけで、板流し問題についてはスキー場が真面目に取り組むことが1番かなと。レンタルボードにはストッパーを付けるといった細工も、それが出来るなら効果的でしょう。さらには影響力のある人たちが啓蒙活動をすることもそれなりに効果があるかもしれません。そしてそこそこ経験があるつもりのエス氏のようなスノーボーダーも、自分は大丈夫なんて思わないように注意したいものですね。仲間同士でもお互いに注意喚起をしましょうよ。自分自身の安全第一はもちろん、人に怪我をさせないという意味でも安全を重視したいものです。それではみなさんごきげんよう。
記事アップありがとうございます。
板流し、本当に頭が痛い問題ですよね・・・
板流す人を見ている限り、以下のような人が多いと思いました。
・ド緩斜面でスケーティングできなかったり、その他の理由でゲレンデ上で板を履いたまま行動できなくなる。
→谷側を向いたまま外す。
→うっかり板を放してしまい板を流す。
なので、イントラとして教える際には、山側を向いて板を外したり付けたりすること、板を置くときはバインを下にすること、板を付けるときと外すときはそれぞれリーシュを最初と最後に操作すること、は必ず教えています。
個人的にはレンタルで説明しないのかな、と思ってしまいます。
(あちらも客さばくので忙しいのでしょうが・・・・)
初心者へのレッスンの最初に板の置き方などを説明するのは基本中の基本だと思っています。
スクールに入ってくれればそのあたりも含めて教えてもらえると思うのですが、問題はレッスンを受けない初心者かと。
するとやはりレンタルやスキー場側が安全性について啓蒙する姿勢をとるしかないと思うですよね。。
レンタルボードだけでもストッパーを付けることができれば、それはそれで有効だという気もしていますけど。
コロナ禍以降、スキー場にお客さんが戻ってきていますが、初心者のボーダーさんも増えているようです。
ところで、妻は2月と今月2回もゲレンデでボーダーさんとぶつかって、頭をうったり、肋骨を骨折してしまいました。
上級者用の急斜面でゲレンデの端で止まっていたのに、ぶつかってこられています。そもそもぶつからないよう、止まれなければならないのに、初心者が急斜面に来ることは無謀というしかありません。
板流しもそうですが、初心者ボーダーさんへの指導、注意喚起が不足していると思います。スキー場、ボーダーさん向けの情報発信において、もっと安全な滑走のためになる指導や啓もうをお願いしたいところです。
廣田さん
コメントありがとうございます。
奥様は災難でしたね。お大事に。
初心者は初心者であるが故に知識や経験に乏しく、出来ることと出来ないことの区別がつかないのが困りものです。
コースの難易度や滑走技術についても初級、中級、上級の定義は非常に曖昧で、技術レベルに合わせて規制するのは困難だと思われますね。
本文中にも書いてある通り、スキー場などが啓蒙活動してくれるのが効果的だとは思いますが、あまりやる気は無さそうですねぇ。
エス氏ブログは残念ながら大した影響力も無いマニアックな温泉旅館大好きおじさん日記なものでして、情報発信力は期待できないのです。