非現実的なワクシングの基本

非現実的なワクシングの基本

 みなさんごきげんよう。エス氏です。今回はソールにワックスを塗る手順をご説明します。ワクシングの基本であるホットワックスについては、一応知っておきましょう。マニアックな話だと感じるかも知れませんが。
 現実問題としてこれからご紹介するワクシング方法を、初心者の方が実際に行うのは困難だと思います。でもご安心ください、簡単な方法も紹介しますので。
 無理なことを詳しくご説明しても意味がありません。今回はホットワックスの手順をご説明しますが、詳細は省かせて頂きます。より詳しく知りたい方は、ワックスメーカーのホームページをご覧ください。非常にマニアックな世界だと感じることでしょう。

HOLMENKOLのWAXINGの手順

ワックスを塗ると、どうして板が滑るようになるのか
 この疑問については深く考える必要はなく、ワックスを塗る=良く滑る、という理解で一向に構わないと思います。私も詳しくは分かりませんし、深く追求しても一般人には意味がないでしょう。簡単にご説明すると、板が雪の上を滑る際には様々な抵抗による摩擦が生じるわけですが、ワックスを塗ることによってこれらの摩擦による抵抗が軽減され、結果として良く滑るようになるわけです。
 雪とソールの間にかかる抵抗には、水の吸い付きによる抵抗、乾燥摩擦抵抗、静電気による抵抗、汚れによる抵抗などがあるようです。ワックスはこれらの抵抗を減らしてくれるわけですね。

ホットワックスとは?
 スノーボードのメンテナンスの基本は、ソールにワックスを塗ることです。ワックスを塗ることをワクシングといいますが、その基本であるホットワクシングとはいったいどのようなものでしょうか。
 ホットワクシングとは、固形のワックスをアイロンを使って溶かし、ソール全体に伸ばして塗ることをいいます。アイロンを使って塗るのは、ポリエチレンというソールの素材がアイロンの熱によって熱膨張し、分子と分子の間が開いた隙間にワックスの分子を入り込ませるためです。このことからホットワクシングでは、ワックスを染み込ませる、という表現を使います。
 ワックスはソールに染み込むので、アイロンで伸ばして塗った余分なワックスはキレイに剥がします。せっかく塗ったワックスですが、ソールに染み込んだワックス以外は逆に抵抗になってしまうので、キレイに剥がして、さらにブラシをかけます。ブラシをかけた後、細かいワックスのカスを、専用のクロスで拭き上げて、ようやくホットワクシングの完成です。
 ホットワクシングを繰り返し行うことによって、ソールにワックスが深く染み込み、滑走性は高くなります。

ホットワクシングに必要な道具
 ホットワックスを行うには、実に様々な道具が必要です。ワクシングを行う前に、これらの道具を揃える時点で挫折しそうです。
・リムーバー
リムーバー
 ソールの汚れ落しです。液状だったりスプレーだったりします。滑走面に使って拭き取ると、古いワックスも汚れも落とせます。汚れが酷い時は何度か繰り返して使いましょう。リムーバーを使った後は、ソールは完全に無防備な状態になります。すぐにワックスを塗ってソールを保護する必要があります。
 リムーバーを使うとソールを痛めるという説もあります。ではリムーバー以外でどうやって汚れを落とすのでしょうか。それはホットワクシングによってです。ホットワクシングを行うと、ソールの汚れがワックスの中に浮き出てきます。それを剥がせばワックスと一緒に汚れも落ちるというわけです。ただし、あまりにも面倒くさい作業だと思いますが。
 私はリムーバーを使っています。汚れが酷いと思ったときだけですが。

・アイロン
アイロン
 固形のワックスを溶かしてソールに塗り付ける道具で、ホットワクシングの主役ですね。専用のアイロンが売っていますが、別に一般家庭用のアイロンでも構いません。

・ワックス
ワックス
 スキー・スノーボード用の固形ワックスを用意します。雪のコンディションに合わせて、ワックスには様々な種類があります。
 温度が高く水分が多い雪用、雪温が低く乾燥した雪用、その中間、等々と雪温に合わせて細かく分類されています。が、一般用のオールラウンドなタイプもあるので心配は要りません。北海道等の非常に寒い地域でなければ、オールラウンドタイプで問題ないでしょう。
 ワックス選びに失敗すると、せっかくホットワクシングをしても、全然板が滑らないこともありますので注意してください。といっても、雪温なんてサーモメーターを使わなければ分からないので、初心者の方は一番オールラウンドなワックスが無難でしょう。北海道等に住んでいる人は、お店の人に聞いてください。
 ワックスの金額も、安価なものから高価なものまで様々ですが、その違いはフッ素の含有量の違いです。フッ素は水を弾くので、含有量が高いものは良く滑るようになります。ただし、フッ素がたくさん入ったワックスは高価なので、ちょこっと入っているくらいのもで十分でしょう。
 私は普段、フッ素の入っていない一番安いワックスを使っていますが、ちゃんとワクシングすれば十分良く滑ってくれます。

・ワクシングペーパー
ワクシングペーパー
 熱くなったアイロンを直接当てると、ソールを痛めてしまうことがあります。ソールとアイロンの間にワクシングペーパーを挟むことによって、ソールを保護することが出来ます。ただし、無いなら無いでホットワクシングは出来るので、どうしても必要というアイテムではありません。
 ワクシングペーパーを使う理由は他のもあります。ペーパーにワックスが染み込むことになるので、ワックスが染み込んだペーパをアイロンとともに動かすことにより、少ない量でソール全体にワックスを塗ることが出来ます。ワックスを塗る量が少ないので、剥がすのも楽になります。
 もう一つ、ペーパーにはソールから浮き出した汚れが付着します。汚れたソールにペーパーを使ってワクシングすると、浮き出た汚れが付着して真っ黒になります。ある程度はリムーバーを使わなくてもソールの汚れを落とすことが出来ます。
 ワクシングペーパーは安価な上に上記のような利点があるので、私は毎回使っています。

・スクレーパー
スクレーパー
 スクレーパーはブラスチックの板です。板の角で、ホットワクシングした後の、余分なワックスを剥がすために使います。繰り返し使っていると角が丸まってくるので、定期的に紙ヤスリの上で擦って、角を尖らせる必要があります。専用のシャープナーもあります。

・ブラシ
ブラシ
 ワックスをスクレーパーで剥がした後、ブラシでソールを擦ります。ワックスはソールの分子の中に入り込んだもの以外は不要なので、細かいカスまでしっかりとブラッシングしてかき出します。
 このブラシの種類も、ワックスの種類に合わせて実に様々な種類があります。マニアックな世界になりますので、ナイロン製のブラシが一つあれば十分でしょう。

・フィニッシュクロス
フィニッシュクロス
 メーカーによってはフィニッシュパッドという場合もあります。ブラッシングした後のソールを拭いて、最後の仕上げをする道具です。ブラッシング等で発生した静電気を除去する効果があります。

 ・・・いかがでしたでしょうか。これらの道具を揃えてはじめて、ホットワクシングを行うことが出来るのです。

ホットワクシングの手順
1.汚れ落とし
 リムーバーを使い、ソールの汚れを落とします。ホットワックスで汚れを落とす場合は、手順2.から4.までを行います。

2.ワックスを垂らす
 アイロンを使って固形のワックスを溶かし、ソールに垂らします。ワクシングペーパーを使えば、それほど大量に溶かさなくても十分ソール全体にワックスを塗ることができます。アイロンの温度は、ワックスを溶かした時にあまり煙が出ない程度にしましょう。温度が高すぎると、ソールを痛めることになります。

3.ワックスを伸ばす
 垂らしたワックスを、アイロンを使ってソール全体に伸ばして塗ります。ワクシングペーパーを使えば作業は楽になるでしょう。

4.冷えるまで待つ
 ワックスをソール全体に塗ったら、冷えて固まるまで待ちます。1.の汚れ落しの目的でホットワックスを行った場合は、ワックスが冷えて固まる前にスクレーパーで剥がしてしまいましょう。ソールがキレイになるまで繰り返したら、手順2.に進みます。

5.スクレーパーでワックスを剥がす
 ワックスが冷えて固まったら、スクレーパーを使ってワックスを剥がしましょう。ワックスはソールの中にしみ込んでいます。遠慮なく剥がしましょう。ワクシングペーパーを使っていれば、ワックスは少量で済むので、剥がすのも楽でしょう。
 スクレーピングで生じたワックスのカスは、掃除が非常に面倒です。私はホットワックス最大の難関はこのスクレーピングにあると思います。自宅の部屋でもベランダでも庭でもいいですが、このワックスのカスを散らかさないように掃除するのは非常に面倒くさい作業です。

6.ブラッシング
 スクレーピングで余分なワックスを落としたら、ブラシを使ってさらに細かなワックスのカスを落とします。ごしごし擦ると、ワックスの粉が出てきます。

7.仕上げ
 フィニッシュクロスを使って、ソールをキレイに拭き上げます。ここまでやって、ようやくホットワクシングは完了です。ゲレンデでは見違えるように板が滑るようになっていることでしょう。

 いかがでしたか?ホットワックスの手順を読んだだけで、ぽっきりと心が折れたのではないでしょうか?
「こんなの出来るわけねぇ・・・」
 そう思った貴方の判断は間違っていないと私は思います。実際私も普段ここまではやっていません。
 ではいったいどこまでやるか?次回はより楽チンで現実的なワクシングの手順をご説明します。

<<スノーボードのメンテナンス     初心者向けの現実的なワクシング>>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です